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ハードラックストーリー(ラスベガスリポート) by 中島 富明
 
 

そのディーラーをどこかで見たことがある様に思った
身長は私と同じくらいだが 体重は倍くらいあるだろう あとで気がついたが オスカーピータソンによく似ていた 
目が合った 首を引いて誘っている ボックスマンをはさんで反対側には ビリージョエルに似ている男がいる スティックマンの顔は見えない

過去5回とも到着した日に勝った事がないが 場に慣れようと思い グリーン4枚とレッド20枚で始めた シューターは 浅黒い顔にきれいに刈り込んだ口髭 中東系だろうか金のネックレスとブレスレット 石の入った指輪もなじんでいる グリーンとブラックで遊んでいた パスラインに赤2枚賭ける 8が出た グリーンを手前に置く
カムに賭ける 6だ グリーンを乗せる 9.9.10.4.4.5.10と続く
なかなかセブンアウトしないが 8も6も出ない ロングシューターだ カムに賭け続けていればよかった タイミングを外した いまさら乗れない
最初からいやな感じだ 結局8も6も出ないまま7アウト
こうしてラスベガス初日が始まった

クラップスで2時間ほど遊んだあと ブラックジャックに移った ダブルデッキ3台 マルチデッキ3台 シングルデッキはない
カードカウンティングするわけではないので関係ないが どのテーブルも活気がない 土曜の夜なのに誰もすわっていないテーブルがいくつもある 名門ホテルも2つの4コーナーに客を取られて久しい ディーラーもみんな敬老会のメンバーみたいだ 最長老らしきディーラーのテーブルに座った とうに60を過ぎているだろう 白人の痩せた男だが 品のいい顔をしている 私の知っている誰にも似てない 1ユニット赤2枚で 1-3-2-6システムを試すがうまくいかない 30分くらいで黒2枚分溶かす 雰囲気にもなれた 先は長いし腰も痛い 切り上げることにした

2日目 
昼過ぎから行動開始 パリスのシャンパンブランチの予定だったが
竹内さんと会えない! 夕食の約束までカジノで過ごす
スロットで儲けた事は一度もないが あくまで“運試し” 毎日少しは廻す
もちろん プログレッシブマシンで夢を見る
さて 今日からはカジノモード 1ユニットをグリーンに変えた
夕食後も含めて 一日の予算を少し余分に溶かす
チェックイン後に作ったプレイヤーズクラブカードを出して
レーティングをしてもらおうと思ったら ピットボスに“最初に提示しないとだめ”
といわれスチームする 一泊分はコンプでもらえたはずだ

3日目
今日も調子が悪い 夕食後 ベラッジオで“O”を観る ショーの始まる前に
コムデックスにきていた遠藤さんにクラップスを お付き合いいただいたが寒いままだ
リビエラに戻って クラップスのテーブルに着いた ピットボス以外は違うセットだ
8人いたシューターがふた周りして 誰もいなくなった 寒すぎる
一日のカジノ予算を きっちり使い切る
この調子では最終日までもたない

4日目
運試しとBJで遊んだあと バックギャモン“も”やりに来たことを思い出した
プロアマ戦のセミファイナルを覗きに行った 時間制限がないし賭け金も大きい ムーブが慎重だ ゆっくり時間が流れていく 見ているのがだるい 
ブレイクに入ったので会場を見回すとクラップスで一緒だった人が何人かいる 
ダイスを振るのが好きな理由がわかった
背の高い痩せた青年にゲームを誘われたが プロを相手に勝てるとは思えない 
レートも聞かずに即座に断ったが “やってみればよかった”とあとで思った 
チキンになっている
フィールドを変えるのは あまり好きではないが リビエラホテルに見切りをつけた
ミラージのカジノにはうれしい思い出がある 再現を狙い同じ場所に着く
儲けが紫から黄色にと変わっていく はじめからここに来ればよかった
ディーラーに“パーフェクト”と褒められ気を良くする 
ディーラーが3廻りするまで遊んで結局紫を持って帰る 
少ないが 初日を出すことが大事だ 上向きの予感がした

5日目
今日はレジストレイションの日だ 午後会場に行って“迷わず”ビギナークラスに登録した 喫煙所で40前後に見える男性に話しかけられ “どこから来た”とか“日本のどこだ”とか聞かれた いつもは“東京の近くで70マイル北だ”と答える 群馬や前橋は知らないだろうと思ったが群馬を知っていた 高崎に行ったことがあるという 日本語は話せない 近くで話を聞いていたパイプをくわえた 年配の男性が“ヨシトを知っているか”と聞いてきた “一緒に来た”と答えた ヨシトは友達だという

ここで告白するが 私は英語を ほとんど話せない 挨拶以外は言っていることが半分わかればいいほうだ 返事はなおさら出来ない 当然会話は弾まない 
名前を覚えて会場に戻ると ブリッツやミニマッチ ダブルスなどの試合が始まっていた参加しようかと思ったが 私の実力ではカジノの方が確率はいいと思い 何箇所かプレイを見てから 会場を後にした

ミラージに“帰って”BJをはじめる 昨日のようには行かなかった
トラムでトレジャーアイランドに移って“ミステァ”を観る前後に遊んだ 
ディーラーは私が苦手なアジア系アメリカ人が多い マカオ、マニラ、ソウルのカジノを思い出すからだ アフリカ系アメリカ人のテーブルに着いて遊んだ 一日の予算を使い切る寸前から盛り返した しかし乗り切れない
勝って帰ることが大事だと自分に言い聞かせ 黒一枚を浮かしてホテルに戻る
これで二日間は負けてない 勝ってもいないが 

6日目
11時からのカルカッタオークションを見に行く 150人以上は集まっていただろうか会場にいるだけでパープルとかイエローが当たるらしい
竹内さんは人気者だ 何人もが ハーイヨッシーと声をかける
オークションはインターミディエイトから始まった パープル前後で売れていく 千石さんが竹内さんの枠を含めて何枠か買った“ショーセンゴク”は有名人だ 今までどのくらい稼いだのだろうか 聞いてみたい
チャンピョンシップはイエロー前後で落札されていく ここでも千石さんが何枠か買った私は誰が強いか知らないので参加できない 竹内さんは自分の枠を買い戻すらしい
少しだけ期待していたが 最後の抽選でも名前は呼ばれず 試合開始の3時まで部屋で時間をつぶす

2時半過ぎに会場へ行き対戦表を見ると52人の参加で 嬉しいことに1回戦は不戦勝だ奥の方で竹内さんが対戦している 遠目からスコアーシートを覗いた リードしていた
ダントンプソンもどこかにいるはずだが見つけられない
指定のテーブルに着くと すぐに対戦相手が来た 30代に見える白人で口ひげを生やしたグッドフェイスだ 笑顔が特に好い ガムを勧めたら 逆にボードの中に入っていたキャンディを勧められた フレンドリーなやつだ 名前はポールという
リラックスした中でゲームは始まった 7ポイントマッチ
ダブルパス2回で0-2となった後 6-2のクロフォードになってあっさり押し切る
ポールのパートナーにも祝福されて 嬉しい3回戦進出だ
ゲームズグリッドのニックネイムを交換した “gammonguy”確かに見たことがあった

3回戦の相手が私を探していた どう見ても高校生くらいにしか見えない プロアマ戦の会場にもいた 学校へ入ってないのか?
二人ともボードを持っていなかったので 主催者に借りて テーブルにつく 
猫が知らない人を見て緊張するように 余裕がない にこりともしない 初戦とまったく違う雰囲気でゲームが始まった
1ゲーム目に私のダブルをテイクさせて ギャモン勝ち 楽になった
そのまま6―0のクロフォードの後 6-1からの5ゲーム目 相手は2と4のバックゲーム ベアインで唯一の割れる目が出た ヒットされて6-4になった
2年前の日本選手権中級の準決勝で“かんた君”に負けたときの記憶が甦る
子供と女性は昔から苦手だ これは秘密だったが今では何人かに話してしまっている
6―6からのラストゲーム またも相手は2と4のバックゲーム 2から6の5ポイントボードが出来ている 6枚上げたところでヒットされた 大ピンチだ 一回ダンスの後1-6で出たがヒットされ 終わったと思った しかし再び1-6の後ヒットされず4のゾロ目で逃げ切れた

4回戦の相手は40代と思われる赤ら顔の白人で私よりも少し大きい
彼もボードを持っていなかったので借りてきた
彼の友人が観戦する中 ゲームを始めた キューブの動いた2ゲームを続けて勝ち また6-0のクロフォードになった 4ゲーム目で勝負がついたと思ったら ジョーカーを振られて6ゲーム目には6―6になってしまった 簡単には勝てない ラストゲームを何とか勝ちきりベスト4 ダイスに記憶はないはずだが クラップスの不運を覚えていたらしい バックギャモンでは幸運だった
これで賞金確定だが 僅かなので慰めにもならない

会場の同じ場所で竹内さんが対戦していた 常にポイントをリードしていたのにラスト2ロールの“天国から地獄へ”を目撃してしまった 慰めの言葉もない
ダンも千石さんもコンソレに廻ることになったらしい
私は予定どおりミラージのカジノへ タクシーをトレジャーアイランドにつけてホットドッグ一本分浮かせた 節約することで流れが変わるといい
しかし ダイスの記憶がカードに移って“つき”のバランスをとったようだ

7日目
11時に会場入りしたが 対戦相手が決まっていない
ブリッツ、ミニマッチとも12時開始だ トーナメントを何試合か覗いて暇をつぶす
疫病神になるといけないので竹内さんのそばには行かない
相手が決まったのは2時過ぎだった 試合をするかと聞くと明日にしようという 11時といってきたので 正午にしてもらった 午前は苦手なのだ
そんな訳でお仕事に戻る リビエラの北にあるサハラホテルに歩いて行った ショボイ!BJでコインを賭けている ミニマム“グリーン”のテーブルには誰もいない
お決まりの運試しだけして ファッションショーモールへ移動した、ニーマンマーカスでジャケットを買おうと思ったが荷物を増やすのがいやなので カジノ資金に回すことにした ポケットの中に入るものはいくら増えてもいい 宝島まで歩いた 懐かしのフラミンゴにも行ったが マネークリップがスカスカになった

8日目
準決勝の相手はボブアップル、背は6フィート弱 あばた顔のタフガイタイプ ネイティブアメリカンの血が混ざっているように思えた にっこり笑ってゲームを始める
ダブル,リダブルパスの0-2で始まった この後小刻みに取り合って6-4のクロフォード つぎを逆転のギャモン負け 3試合続けて6-6になった ラストゲームは2メンオンザバー、クローズアウトにされた あきらめていたが ベアオフでミスムーブ、少し期待した ほとんど影響ないと思ったのだろう 当たり前だが勝ちを確信しているようだ 5枚あげたところでヒットチャンスが来た 私のボードは2にブロット 3から7の5プラ ワンチャンスを生かしてヒットできた 相手がダンス フルプライム完成 エースにスロット 1-2で相手のインナーにダブルブロット発生 一枚撃てればほぼ勝ちだ 撃てない “6ぞろ”とかで負けたことが何度もある 相手もあきらめていない しかし私の方がついていた こんなときは相手になんていえばいいのだろう 思いつかない 
心の中でご愁傷様

まだ日が高い 向かいのサーカスサーカスに行ったが雰囲気が合わない 手前のカジノもコインが動いている 表に出るとちょうどバスが来た そういえばラスベガスでは過去も含めてバスに乗ったことがなかった 記念に乗ろうと思ったら2,3人前で満員だと断られた 10メートル離れた場所に違うバスが留まった 初体験に感激 北がだめなら南に移動 バスがこの先で留まるかどうかわからなかったから ラクソーで降りてマンダレイベイまで歩いた トラムがあるのは知っていたが、なぜか歩いた
マンダレイベイのカジノは竹内さんが気に入っているだけあっていい雰囲気の中でゲームが出来た いいのは雰囲気だけで成績の方は相変わらず悪い いつもはここでユニットを上げて勝負する ミニバカラの誘惑を断ち切って明日に備えることにした

最終日
11時30から決勝戦 相手は聞き慣れない名前だ サッドヘイネンとか そんなような名前だった 彼が私を探して ヘッジを申し込んできた
賞金の割合を8-2から6-4にしようという 断るのも面倒なので受け入れた
ここまでブラック3枚分はどうでもいい状態になっていた
サンディエゴから来た彼はすでにボードを用意してチェッカーも並べてあった そういえばこの大会で一度も廻りも色も決めたことがない 常に相手が決めていた 自分のダイスを使っていいかと聞くとあっさり断られた 背が低いせいか椅子を重ねて座っている しかもボードの斜め左に ボードを彼の前に移して 私が向かい合うと また斜めに移動する 彼のポジションなのだ 9ポイントマッチを始めた 私がダイスを振る 私の目を確認してから彼がダイスを振る マナーが悪いが目くじらを立てるほどのこともない 5ゲーム終わって8-0クロフォード 次のゲームは落としたが7ゲーム目で勝負を決めた 40分かからなかった
わざとイリーガルムーブをしたり目の悪さに文句を言ったりする相手だったがなぜか憎めない雰囲気を持ったおじさんだった

ボブさんが インターミディエイトのファイナルをやっている 竹内さんはディナーパーティに招待されているらしい(優勝したらの話だが) チャンピオンシップの棋譜を取っているので“念”を送れないだろう 私の応援もむなしくパーティはお流れ

6時からの表彰式の後 私のラストチャンスだ 出発の4時まで寝ないつもりで9時過ぎに部屋を出た なんとなく2階へあがったらチケットボックスがあったので予定を変更して“クレイジーガールズ”を観た 初日にベニシアンで観た“V”でやっていた物まねが掛け持ちでがんばっていた まさか同じショーを滞在中に見るとは思わなかった

10時半から復讐を誓って5日目から手を出さなかったクラップスのテーブルについた
プレイヤーカード出せといっているが いまさらコンプをもらう気もない もっともカードは 2,3日前にスロットマシーンに忘れて失くしてしまった
ダイス運はギャモンで使い果したらしい BJに移った 6ユニットのときスプリットしてダブルダウンで負けたり 前が一人抜けたら後ろにブラックジャックが入ったり 前に入ればそこにブラックジャックが入ったりして不運が続いた 同じテーブルの中国人のご夫人は 私と同じ1ユニット 緑二枚賭けで 黒を増やしていく レイズアップして紫も何枚か手にしていた 私もかなり粘ったが降参だ 2時ごろ部屋に戻った

盾だけが残った それと竹内さんがほぼ毎日設営してくれた 食事の思い出も 
竹内さん“ありがとう”